国内

貴乃花親方がいじめられ、小泉進次郎氏がいじめられない理由

脳科学者の中野信子氏 撮影/中島剛

 いじめは大人の世界でも頻発している。『ヒトは「いじめ」をやめられない』を上梓した脳科学者の中野信子氏が脳科学の観点から対策を説く。

 * * *
 猛獣と比べて脆弱な肉体しかもたない人間が地球上で生き残ってこられたのは、集団を作って高度な社会性を持ってきたからである。

 この集団が存続するうえでもっとも脅威となるのは、自分だけ楽をしたり、集団に協力しなかったりする「フリーライダー(タダ乗りする人)」だ。放置すると集団が崩壊するので、人間の脳には、フリーライダーに制裁を加えて排除しようとする「裏切り者検出モジュール」という機能が備わっている。

 人間の脳内では安心感を抱かせ、やる気を出させるセロトニンという神経伝達物質が分泌されているが、日本人はセロトニンを再利用するセロトニントランスポーターの量が少ない人が極めて多く、世界一不安になりやすい民族といえる。そのため、「裏切り者検出モジュール」の感度が高く、フリーライダーとはいえない人までも「将来的な不安の種」と認識し、過剰に排除してしまう。これが「いじめ」のメカニズムだ。

 いじめは脳の機能で起きるものだから仕方ないなどというつもりは毛頭ない。メカニズムを知り、それを対策に活かすことが重要だ。

 いじめは大人の世界でも起きる。昨年末、世間を騒がせたあの“事件”はまさにいじめの構図だった。

 横綱・日馬富士が平幕・貴ノ岩を殴りケガを負わせた件で、貴乃花親方が警察に被害届を出した際、「横綱に対して失礼な態度をとった貴ノ岩も悪い」「貴乃花は警察に届ける前に協会に報告すべきだった」といった声が出て、メディアも大きく取り上げた。相撲フリークと呼ばれる人ほど、貴乃花親方や貴ノ岩を批判していたのは象徴的だ。角界を守るため、秩序を乱す者を排除するという「利他的懲罰」の面が強く出ていた。

関連記事

トピックス

『傷だらけの天使』出演当時を振り返る水谷豊
【放送から50年】水谷豊が語る『傷だらけの天使』 リーゼントにこだわった理由と独特の口調「アニキ~」の原点
週刊ポスト
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
《英国史上最悪のレイプ犯の衝撃》中国人留学生容疑者の素顔と卑劣な犯行手口「アプリで自室に呼び危険な薬を酒に混ぜ…」「“性犯罪 の記念品”を所持」 
NEWSポストセブン
原監督も心配する中居正広(写真は2021年)
「落ち着くことはないでしょ」中居正広氏の実兄が現在の心境を吐露「全く連絡取っていない」「そっとしておくのも優しさ」
NEWSポストセブン
フジテレビの第三者委員会からヒアリングの打診があった石橋貴明
《離婚後も“石橋姓”名乗る鈴木保奈美の沈黙》セクハラ騒動の石橋貴明と“スープも冷めない距離”で生活する元夫婦の関係「何とかなるさっていう人でいたい」
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
〈山口組分裂抗争終結〉「体調が悪かろうが這ってでも来い」直参組長への“異例の招集状” 司忍組長を悩ます「七代目体制」
NEWSポストセブン
休養を発表した中居正広
【独自】「ありえないよ…」中居正広氏の実兄が激白した“性暴力認定”への思い「母親が電話しても連絡が返ってこない」
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(時事通信フォト)
「うなぎパイ渡せた!」悠仁さまに筑波大の学生らが“地元銘菓を渡すブーム”…実際に手渡された食品はどうなる
NEWSポストセブン
新年度も順調に仕事を増やし続けている森香澄
《各方面から引っ張りだこ》森香澄、“あざとかわいい”だけじゃない「実はすごいアナウンス力」、「SNSの使い方はピカイチ」
NEWSポストセブン
4月7日、天皇皇后両陛下は硫黄島へと出発された(撮影/JMPA)
雅子さま、大阪・沖縄・広島・長崎・モンゴルへのご公務で多忙な日々が続く 重大な懸念事項は、硫黄島訪問の強行日程の影響
女性セブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(左/時事通信フォト)
広末涼子の父親「話すことはありません…」 ふるさと・高知の地元住民からも落胆の声「朝ドラ『あんぱん』に水を差された」
NEWSポストセブン
SNSで出回る“セルフレジに硬貨を大量投入”動画(写真/イメージマート)
《コンビニ・イオン・スシローなどで撮影》セルフレジに“硬貨を大量投入”動画がSNSで出回る 悪ふざけなら「偽計業務妨害罪に該当する可能性がある」と弁護士が指摘 
NEWSポストセブン
都内にある広末涼子容疑者の自宅に、静岡県警の家宅捜査が入った
《ガサ入れでミカン箱大の押収品》広末涼子の同乗マネが重傷で捜索令状は「危険運転致傷」容疑…「懲役12年以下」の重い罰則も 広末は事故前に“多くの処方薬を服用”と発信
NEWSポストセブン