サラリーマンの多様な働き方を後押しする流れが起きつつあるが、2018年、本格的に進みそうなのが、「副業・兼業の解禁」だ。国も、起業など社会の活性化や、第二の人生の準備につながるとして、「働き方改革実行計画」の中に副業推進を盛り込み、早々にガイドラインを作成する予定だ。
すでに、製薬会社「ロート製薬」やソフトウェア開発会社「サイボウズ」などのように、積極的に社員の副業を認めている企業も増えてはいるが、まだ少数派といえる。
リクルートキャリアのアンケート調査「兼業・副業に対する企業の意識調査」(2016年度)によれば、「推進派」企業はわずか0.3%で「容認派」企業は22.6%。そして、77.2%の企業が「禁止派」だ。
なぜ、企業は社員の副業を認めようとしないのか。社会保険労務士の稲毛由佳氏がいう。
「機密情報の漏洩や、本業+副業・兼業のダブルワークによる長時間労働で社員が健康を損ねるといった万が一の事態はできる限り回避したいと考えているのです。その他、風俗関連などの違法な仕事に就いて、会社の名誉や信用を損なう行為があっては困るという理由もあります。
もちろん、実害を被るような副業は問題ですが、そうでなければ、労働時間以外の時間をどのように使用するかは、基本的には労働者の自由──というのが司法の考え方でもあります。憲法には『職業選択の自由』も定められていますからね」
いずれにせよ、昨年11月に公表したガイドライン案では、会社の判断で副業を拒否することが可能な「許可制」から、手続きさえ踏めば自由に副業ができる「届出制」へとハードルを下げることを求めている。
もはや会社側も社員に「本業に専念すべし」とは言いづらい時代だが、そこで起きそうなのが“隠れ査定”による社員の締め付けだ。
「副業に勤しむ社員は重要な仕事を任せてもらえず、本業に専念している人よりも出世が遅れるとか、普段は見逃してもらえるようなミスを厳しく注意されるといった不公平な扱いをされる恐れはあります。最悪の場合は、副業とは関係のない理由をつけられ、肩たたきの対象や解雇されるということもあり得ます」(前出・稲毛氏)
では、こうした隠れ査定で本業をフイにしないためにはどうすればいいのか。稲毛氏(以下、カッコ内も)が副業・兼業選びの6つのポイントを挙げる。