看取る側の負担を金額に換算すると…
病気をどう治療するかではなく、人生の最期をどう迎えるかというステージには「岐路」がある。
70歳未満の人が末期がんでホスピス(緩和ケア病棟)に入った場合の入院医療費は、期間や所得により異なるが、一般的に自己負担額で月10万円ほど。加えて、食事代や雑費が月3万~5万円、個室を利用すれば差額ベッド代が1日につき最低5000円ほどかかる。
自宅で緩和ケアを受ける場合、訪問医療費の月額自己負担額は、週4回訪問で約5万8000円程度だ。
この数字だけを見れば、ホスピスのほうが負担は大きくなるが、自宅での看取りには“見えない出費”が存在する。介護情報・終活のアドバイザーである横井孝治氏が解説する。
「たとえば自宅での介護中に痰が絡んだ場合、法律上はヘルパーが処置できません。そのたびに看護師を呼ぶわけにもいかず、必然的に痰の吸引は家族の仕事になります」
痰の絡みは24時間いつでも起きるため、家族はそのたびに処置する必要がある。
「家族が大勢いれば手分けできますが、夫婦2人では、自宅で看取ることは実質的に不可能です」(横井氏)