今から60年以上前、銀幕を通じて輸入されたグラマラスでエロティックな欧米の金髪(=パツキン)女優に日本の男たちは魅了された。1950年代、フランスのブリジット・バルドー、イタリアのジーナ・ロロブリジーダ、そしてアメリカのマリリン・モンローが人気を博していた。
同時期、115cmの爆乳で男を虜にしたのがジェーン・マンスフィールドだった。パーティでソフィア・ローレンに「どちらのバストが大きいかしら」と話し掛けるなど、ユーモアのセンスもあわせ持っていた。
一方、コロムビア映画はモンローに対抗するためグラマーなキム・ノヴァクに目をつけ、ライトブラウンの髪を金色に染めさせた。その後、1958年の『めまい』で主人公を翻弄する謎の女性を演じ、“ミステリアス・キム”の異名で一世を風靡した。
「当時、『金髪=頭が悪い』というイメージが定着していました。でも、マンスフィールドのIQは163といわれ、『007シリーズ』の初代ボンドガールであるウルスラ・アンドレスも4か国語を操るマルチリンガルでした」(映画評論家・秋本鉄次氏)
1962年にモンローが謎の死を遂げた後、1960年代後半からは金髪への根強い偏見は影をひそめた。
「きっかけはジェーン・フォンダ主演の『バーバレラ』(1968年)でした。敵に捕獲され淫乱マシーンで攻撃されるのですが、フォンダの性欲が強過ぎて機械が壊れてしまうという過激なストーリーでした(笑い)。この頃から強いパツキン女優像が生まれていきました」(秋本氏)