いったい何度“約束”を反故にするのか。1965年、朴正熙政権と交わした日韓基本条約から50余年──この隣国は、国家間の協定も、大統領の発言も、首脳が握手して交わした合意さえも、平然と踏みにじってきた。そして文在寅大統領は慰安婦問題を巡る嘘と裏切りの歴史に、新たな1ページを加えようとしている。
そもそも日韓の過去の賠償問題は、1965年の日韓基本条約および日韓請求権協定で解決済みだった。このとき個人保障は韓国政府が行なうと主張したので、日本政府から韓国に5億ドルが提供された。ところが、1992年1月の日韓首脳会談で宮澤喜一首相が謝罪の言葉を連発、翌1993年には、河野洋平官房長官が「河野談話」を発表した。
この後、日本では自民党が下野し、細川、羽田内閣と続いた後、自民党・社会党・さきがけの3党連立の村山政権が誕生。韓国側の怒りを収めるため、1995年に設立されたのが、「アジア女性基金」である。
アジア女性基金は、日本政府が約48億円を拠出して運営された。民間からの募金約6億円をベースにして元慰安婦に一人200万円の「償い金」と首相の「おわびの手紙」を届ける事業を開始した。
「最初は韓国の元慰安婦7人が受け取りを希望したのですが、慰安婦支援団体である韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)が、基金は『日本政府の賠償責任を回避するためのまやかし』との批判を展開。元慰安婦に受け取り拒否をするよう説得した。韓国メディアも基金を非難しました。それでも日本側は、水面下で計61人に償い金を届けた。