2017年10月の中国共産党の第19回党大会で最高指導部入りすると目されながら、党大会を直前に控えた同年7月、「重大な規律違反」の疑いで失脚した孫政才・重慶市党委書記が少なくとも公金10億元(約175億円)を横領し、愛人4人につぎ込み、隠し子を3人もうけていたことが分かった。
孫氏は江沢民時代から有能な官僚として頭角を現し、農業大臣や吉林省長、党トップ25人で形成する党政治局入りもしており、ポスト習近平の最高指導者候補としてもてはやされていたが、お決まりの女と金の誘惑に負けて、身を持ち崩したようだ。香港紙「明報」や「香港01」が報じた。
孫氏は現在54歳で、北京市農林科学院(大学)の修士課程修了。もともとは農業の専門家で同大で研究を続けていたが、北京市の幹部に転向。当時の北京市トップだった賈慶林・党委書記の秘書を務め、頭角を現し、上海閥(江沢民氏や習近平氏の派閥)の後押しを受けて中央入りした。
43歳の若さで農業大臣に就任するなど、その後はとんとん拍子に出世し、党政治局員まで上り詰め、19回党大会で党政治局常務委入りは確実と報じられたこともある。
しかし、2017年7月、突然失脚したことから、その具体的な罪状に注目が集まっていた。
香港01などによると、孫氏は習近平国家主席肝いりの国家プロジェクト「一帯一路」経済圏構想の資金のうち約10億元を流用して、愛人が香港で設立したダミー会社に投資。これを知った元重慶市幹部が腐敗取り締まりを行う党中央紀律検査委員会トップだった王岐山書記に告発したという。
同委の内偵調査の結果、孫氏は4人も愛人を囲っており、そのなかには女子大生も含まれていた。