食べ物の消化・吸収、便の排出……「腸の機能」といわれた時に浮かぶのはそうしたイメージだろう。しかし近年、様々な研究が進められ、腸が持つ新たな「力」が次々と明らかになっている。とりわけ注目されるのが「腸の免疫パワー」で、これまで根治が難しいとされてきた病を克服できる可能性が出てきている。
これまでの医学の常識では、脳が司令塔となり、各臓器に様々な命令を出して健康状態をコントロールしていると考えられてきた。
それに対し、「臓器や細胞間の情報伝達」に着目して話題となっているのが、NHKスペシャルで放送中のシリーズ『人体 神秘の巨大ネットワーク』だ。同シリーズでは、各臓器や細胞がそれぞれに「メッセージ物質」を放出し、ほかの臓器や細胞と直接情報をやり取りする──という新説を紹介しているのだ。
2017年9月の放送開始から腎臓、脂肪、筋肉などの「知られざる働き」が紹介され、1月14日には最新第4集の「万病撃退! “腸”が免疫の鍵だった」が放送された。
一般的に、腸は「食べ物の消化を助ける」「栄養分や水分を吸収し、不要物を便として体外に排出する」臓器だと理解されている。
そうした中で近年、腸が持つ「消化・吸収・排出」以外の役割について、注目が集まっている。外界からの病原体の侵入を食い止める最大の「免疫器官」としてのはたらきだ。知られざる「腸の免疫パワー」とは、いかなるものなのか。