「Today’s menu is grilled mackerel!(本日のメニューはさばの塩焼です)」
英国・ロンドンにある和食オンラインデリバリーサービス『WASO(和惣)』のオーナー・吉村俊宏さん(30才)が届けるお弁当を開けると英国人の常連客たちは恍惚の表情を浮かべた。だしやドレッシングもすべて手作りにこだわった『WASO』の“本物の和食”は現地の人々を虜にし、年間300食を注文するお得意さんもいる人気ぶりだ。今後は店舗も出していきたいと吉村さんは意気込む。
「英国人にもすっかり日本食は浸透していて、週に1回はランチで食べるという人は2割くらいいるんじゃないでしょうか。『WASO』では、みそ漬けしゃけの焦がししょうゆ焼きやさばのみぞれ煮、から揚げなどが人気です」(吉村さん)
2013年に無形文化財に登録されて以来、留まることを知らない世界の和食ブーム。農林水産省によると、海外の日本食レストランはここ2年で約8.9万店から約11.8万店と、3万店近く増えている。しかし、そのお膝元である日本の食卓では、外国人の理想とはほど遠い光景が広がっていた。
そんな食卓の危機を著したのが、現代の一般家庭の食卓を写真に記録した『残念和食にもワケがある――写真で見るニッポンの食卓の今――』(中央公論新社)だ。同著には、「白いご飯は味がないから嫌だ、と子供が食べないから出さない」「ラーメン以外はすべてスプーンで食べる。お子様プレートは盛りやすく片付けやすいから大人もよく使う」「ピザと刺身を組み合わせる日もある」「みそ汁は作らない。代わりに牛乳や麦茶を飲めばいいから」など衝撃のレポートが記載されている。