白鵬、稀勢の里の2横綱が連敗から休場となった大相撲初場所の土俵。土俵上の異変と連動してか、場所後の日本相撲協会理事選をめぐり、八角理事長(元横綱・北勝海)ら協会執行部側と、貴乃花グループとの暗闘も激しさを増している。緊迫の情報戦が続く中、注目されるのは八角理事長側につくとみられていた一部の親方衆が「離反」の動きを見せていることだ。
「動向を注視されるのが、学生力士出身の親方衆です。現在、学士親方は32人を数え、全親方の約3分の1を占めますが、現行体制に不満を持つ親方が多いとされています」(ベテラン記者)
意外なことに、学士力士で横綱まで昇進したのは、第54代横綱・輪島(日大出身)の一人だけ。
「角界は学歴ではなく現役時代の最高位で親方としての発言力が決まる世界。学生出身力士は幕下付け出しデビューなどで途中までは出世が早いが、アマチュア特有の脇の甘さからか、三役どまりのケースが多い。
入門後に付け人の経験などなく、叩き上げの親方衆とは折り合いが悪い。東京農大出身の時津風理事長(元大関・豊山)の時代には、新しい試みを打ち出すたびに“大学出の考えることは分からない”と、叩き上げの理事たちから批判を浴びました」(同前)
発言力の小さい学士親方たちは、不遇を打開できるとみてか、貴乃花親方の「協会改革」に同調する傾向があるのだ。