2018年の大相撲初場所は、白鵬と稀勢の里の2横綱が連敗から休場となるなど、大荒れの様相だ。荒れているのは土俵の上だけではない。場所後の相撲協会理事選をめぐり、親方衆の暗闘が繰り広げられている。
全親方の約3分の1である32人もいる学生力士出身の親方衆には、現行体制に不満を持つ親方も多いとされ、その動向が注視されている。何しろベテラン相撲記者がこう語るほどなのだ。
「角界は学歴ではなく現役時代の最高位で親方としての発言力が決まる世界。学生出身力士は幕下付け出しデビューなどで途中までは出世が早いが、アマチュア特有の脇の甘さからか、三役どまりのケースが多い。
入門後に付け人の経験などなく、叩き上げの親方衆とは折り合いが悪い。東京農大出身の時津風理事長(元大関・豊山)の時代には、新しい試みを打ち出すたびに“大学出の考えることは分からない”と、叩き上げの理事たちから批判を浴びました」
そんな不遇の学生力士出身の親方衆が動く“きっかけ”になり得るのが、貴乃花親方が協会に提出している「新たな爆弾文書」の存在だ。協会関係者が明かす。
「協会側の説明に対して、貴乃花親方が詳細に反論をまとめた『意見書』が2通存在するのです。1通は主に暴行事件当夜の経緯をまとめた協会の『調査結果報告書』(2017年12月20日公表)への反証、もう1通は降格処分の根拠とした『貴乃花親方の責任について』と題された報告書(同12月28日公表)への反論です。2通とも、昨年のうちに貴乃花親方が代理人を通じて協会に提出している」