「世紀の一戦」まで1か月を切った。藤井聡太四段(15)と羽生善治竜王(47)が、2月17日の朝日杯準決勝で対局することが決まり、棋界は空前の盛り上がりを見せている。
1月16日には、羽生竜王の「竜王就位式」があり、その前に開かれた2人の共同会見は大々的に報じられた。この会見を「異例中の異例の出来事」というのは、ある将棋観戦記者だ。
「竜王戦と朝日杯の主催社は、それぞれ読売新聞と朝日新聞。つまり、読売新聞主催の竜王就位式の場で、朝日新聞主催の朝日杯の“宣伝プロモーション”が行なわれたのです。
ライバル社同士がこんなかたちで協力するのは記憶にない。それほどまでに棋界をあげて盛り上げたいということでしょう」
昨年、前人未到の29連勝を成し遂げた藤井四段。その“藤井フィーバー”の影響で、自分では将棋を指さずに観戦だけを楽しむ「観る将」と呼ばれるファンが増えている。著書に『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』があるライター・松本博文氏はこういう。
「公式戦の大半は非公開で行なわれますが、対局終わりに『出待ち』をする『観る将女子』も現われた。棋界でも羽生さんが独身だった頃以来のことです。年齢層も女子高生から40~50代の母親世代まで幅広い。藤井四段が佐藤天彦名人(30)を破った対局は公開対局だったので、一目観たいという『観る将女子』が数多く集まりました」