臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になった著名人をピックアップ。記者会見などでの表情や仕草から、その人物の深層心理を推察する「今週の顔」。今回は、三池淵管弦楽団の玄松月団長に注目。
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平昌冬季五輪における北朝鮮への特別扱いが、賛否を巻き起こしている韓国。「北朝鮮は特別」、世界中にそんなイメージを抱かせたのは、なんといっても「三池淵(サムジヨン)管弦楽団」団長、玄松月(ヒョン・ソンウォル)氏の存在だ。
三池淵管弦楽団は、北朝鮮が平昌冬季五輪に派遣するために構成した女性楽団。その公演準備のため訪韓した玄氏を、韓国はスター並みの警護と厚遇で迎えた。やってきた玄氏は、落ち着いた色のコートに毛皮のストールという出で立ち。視察に訪れた江陵でバスを降りると、顔を上げ、まっすぐに前を見たままにこりともせず、大勢の人に取り囲まれながら歩いていく。
公演予定のアートセンターでは、出迎えた3人の男性に作った笑顔で「こんにちは」と挨拶しながら、握手を交わした。といっても、最初の相手は顔をちらりと見ただけで、相手が頭を下げても玄氏は頭を下げず、軽く握手をしたのみ。隣に並ぶ2人目に対しては顔も見ずに握手しだけ。通り過ぎようとしたが、声をかけられ振り向いた。3人目の相手が頭を下げて手を出しても、彼女が頭を下げることはなく、おざなりに握手をして終わる。
「自分は特別な存在」、彼女自身、そんな風に自分のことを思っているような印象だ。そういえば軍事境界線の板門店にある北朝鮮側の施設で、芸術団の派遣に関する南北の実務者会談が開かれた時も、彼女は握手したものの、韓国側の人々に頭を下げることはなかった。