初場所は終わったが、“本当の勝負”はこれからだ。2月2日の理事選が、角界を二分する大抗争の帰趨を決する場となる。日本相撲協会の理事選で10の枠を奪い合う運命の日となる。だが、貴乃花親方が当選しても、“反貴乃花派”を鮮明にする池坊保子氏が議長を務める評議員会が理事就任を認めない可能性がある。
その場合は理事当選者が9人になる。欠員をどうするのか、八角理事長(元横綱・北勝海)に質問をぶつけたところ「仮定の話には答えられない」「そのときは理事会で決めればいい」とぶっきらぼうに答えるだけだった。一方、貴乃花親方は理事選を目前にしてなお沈黙を貫いている。
関係者の注目を集めているのが、本誌『週刊ポスト』前号でその存在を報じた2通の「意見書」の存在だ。いずれも貴乃花親方が昨年末、代理人を通じて協会に提出したもので、1通は日馬富士による貴ノ岩への暴行事件当夜の経緯を協会の危機管理委員会がまとめた「調査結果報告書」(昨年12月20日公表)への反証。もう1通は協会が貴乃花親方の理事降格処分の根拠とした「貴乃花親方の責任について」と題された報告書(同12月28日公表)への反論だ。協会関係者が明かす。
「協会側の報告書の内容をメディアが大きく報じるから、あたかもそれが“確定した事実”だと思われているが、貴乃花親方側の『意見書』の内容を踏まえると、実際には事件の加害者側である日馬富士や横綱・白鵬と、被害者である貴ノ岩の証言には大きな食い違いがあることがわかるのです」
そこには、事件発覚後、執行部が貴乃花親方に執拗に被害届の取り下げを求めていたことも書かれていたという。さらに、危機管理委員会による貴ノ岩への聞き取りの際、示談を促されたといった経緯も記されており、協会が事件を“矮小化”しようと必死だったとも解釈できるのだ。
しかし、その反論意見書は“封印”され、いまだに公表されていない。本誌が確認した「意見書」の内容について取材・検証を進めると、貴乃花親方の真の問題意識と怒りが「誰に向けられているのか」がはっきり浮かび上がってくる。