大河ドラマの熱心な視聴者たちが毎年、注視するのが放送開始時点での“未発表キャスト”だ。『西郷どん』でも、必ず登場するはずの“大物”の演者が明らかにされていない例がいくつもある。歴史通・大河ファンたちは、誰に演じてほしいと考えているのか。
主人公・西郷隆盛(鈴木亮平・34)の慕う島津斉彬(渡辺謙・58)が薩摩藩主となり(第4話)、物語は“西郷どんの立身出世”という序盤の見せ場に入っていく。
そうしたなかで1月15日、笑福亭鶴瓶(66)が“維新十傑”の一人である岩倉具視を演じることが発表された。この起用に驚くのは歴史作家の井手窪剛氏だ。
「岩倉は下級公家ながら卓越した行動力で朝廷を動かし、西郷や大久保利通(瑛太・35)らとともに徳川幕府を倒した人物。500円札にもなった肖像画では眼光の鋭さが印象に残ります。それが“タレ目”の鶴瓶さんですから、かなり大胆なキャスティングです」
次なる注目は一橋慶喜。のちに徳川15代将軍となり大政奉還を決断する“悲運の将軍”とみられがちだが、歴史通の間では“策士”の印象が強いという。歴史作家で『新選組!』(2004年)や『龍馬伝』(2010年)などの時代考証を担当した山村竜也氏はこういう。
「14代将軍・家茂が亡くなった後、慶喜は将軍職を継ぐことを一度、拒否しているんです。幕府の難局だったために、“周囲から請われて将軍になる”という状況を作り出したかったからだといわれています。クセのある人物だけに、演じるのも簡単ではない」