「投資の経験が少ない人にはイメージしにくい仮想通貨の取引ですが、親近感のあるキャラクターの出川哲朗さんが“ビットコインはコインチェックがいい”と連呼する宣伝が反響を呼んで、CM放送開始の昨年12月以降に仮想通貨を買い始めた人たちが続出しました。そうしたビットコイン初心者は一部で『出川組』と呼ばれています」(金融ジャーナリスト)
そんな「出川組」を待ち受けていたのは、現在のところ、かなり“手荒い洗礼”だった。昨年初めは1単位あたり10万円前後だったビットコインは、爆騰を続け、12月には230万円を超える値をつけた。しかし、今年1月中旬には100万円を割り込むまで大暴落。12月に「出川CM」を見て仮想通貨を買った人は、すでに半分以上の資産を失ったことになる。追い打ちをかけるように起きたのが、仮想通貨の巨額流出事件だった。
1月26日、取引所「コインチェック」の利用者の口座から、ビットコインとは別の種類の仮想通貨「NEM(ネム)」が約580億円分も流出した。不正なアクセス(ハッキング)によって誰かに盗まれたとされる。コインチェックでは、すべての仮想通貨の出金ができなくなった。同社は「円で返済する」と説明しているが、時期もあいまいで、本当に返済できるのか疑問の声も。
事件後、「出川CM」はコインチェックの公式サイトから画像と動画がすべて削除された。ネットでは「出川が悪い!」と言い出す人まで現れて、出川としてはとんだとばっちりを受けた格好だ。ビットコインアナリストの田代昌之さんは、「ビットコインにリスクはつきもの」と指摘する。
「値動きがあるのは株の取引と一緒でも、株には急激な変動を防ぐために『ストップ高・ストップ安』という仕組みがあるが、ビットコインにはありません。また、今回の流出事件のようにセキュリティーの弱い取引所からごっそり盗まれてしまう懸念もあります。一攫千金的な値上がりも期待できる一方、ギャンブル的な要素が高いといえるでしょう」
「ラララライ体操」で一躍ブレークしたお笑いコンビ「藤崎マーケット」のトキ(33才)は、今回の流出事件で被害を受けた1人。貯金すべてをNEMに替えていたというトキは、まさかの“預金消失”をテレビでこう嘆いた。
「急に(貯金が)ゼロになるということがこの世にあるんだなと…。所持金は現金6万円とPiTaPa(交通系ICカード)の6000円くらいしかない」
◆お笑い芸人に仮想通貨ブーム
仮想通貨を利用する有名人は多い。サッカー選手の本田圭佑(31才)は現役生活の傍らで仮想通貨ビジネスに参入し、ビットコインならぬ、「本田コイン」を売っていると報じられた。
GACKT(44才)はブログで「仮想通貨はこの世界の最大成長産業」と主張し、仮想通貨「スピンドル」の広告塔として“普及活動”をする。