最近、注目を集めるリタイア世代特有の「加齢性ストレス」だが、このストレスは女性よりも男性のほうが影響を受けて病気になりやすいと言われている。高齢男性のひとり暮らしは、それだけでもストレスになる。妻と10年前に離婚した高田勝太さん(70・仮名)がため息まじりに漏らす。
「正直、気楽な面もあるけど、炊事や洗濯、掃除など、家事はいまだに面倒で仕方がない。夜、ゴミ屋敷みたいな部屋で冷たい布団に入ると、“こんな所で死ぬのかぁ。嫌だな~”としみじみ思うことがあるよ。仕方がないけどね……」
友人が多く、孤独を感じていないような人でも、少し体調を崩したことがきっかけで、突然、大きなストレスを感じるケースもあると大阪府門真市医師会の辻川覚志医師は話す。
「典型的なのは目の病気です。目が衰えて物が見えにくくなったり、視野が狭くなったりすると、自分の将来や行動に不安が生じるようになる。体調がよくないと、秋の夕暮れ時や冬の朝に目覚めた時に、突然、不安でたまらなくなるという話もよく聞きます」
加齢性ストレスががん、脳卒中、心筋梗塞という日本人の3大疾病につながりやすいことには「男女差」がある。この差については、こんな指摘もある。予防医療学を専門とする新潟大学名誉教授・岡田正彦氏はこう語る。