執行部に反旗を翻した貴乃花親方と八角理事長による角界を二分する骨肉闘争は、「2・2理事選」で貴乃花親方の理事落選が決まり、一応の決着を見たかたちだが、大きな禍根を残した。
「貴乃花一門は土壇場の一門会まで貴乃花親方の立候補を正式に決めなかったが、それだけ執行部側の攻勢が凄まじかったということ」(担当記者)
最後の1週間になって貴乃花親方の“右腕”である立浪親方(元小結・旭豊)の不倫疑惑騒動が報じられたり、テレビ番組の取材に応じたことが相撲協会で禁止されている“本場所中の無断のテレビ出演”だと槍玉にあげる報道が出たりしたことで、「慎重に動かざるを得なくなっていた」(同前)というのである。
一方の八角理事長サイドは、「無投票に持ち込むことが狙いだった」という。ある若手親方がいう。
「執行部サイドは立候補の意向を示していた伊勢ヶ濱親方(元横綱・旭富士)に出馬を断念させた。これは執行部側の立候補者を『8人』にしぼり、出羽海一門ながら貴乃花親方に近い山響親方(元前頭・巌雄)を含めた貴乃花グループに『2人分の枠を差し出した』ことを意味する。貴乃花親方はこの“和解案”に乗るか、同じ一門の阿武松親方(元関脇・益荒雄)を立て『3人立候補』という“絶縁状”を出すか、最後まで検討を重ねていた」(同前)
結果、投票が行なわれたことは両陣営が全面抗争に突入したことを意味する。この角界闘争は一層、激しさを増すことになる。