2月17日の朝日杯準決勝で、羽生善治竜王(47)との公式戦初対局を控える15歳の天才棋士・藤井聡太──デビューからの連勝記録が途切れた後も大活躍が続く中で、とりわけ注目すべきは「順位戦での快進撃」とするのは、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』などの著書があるフリーライター・松本博文氏だ。
「順位戦は1年かけてリーグ戦形式で行なう棋戦で、プロ入り当初に所属するC級2組から最上位のA級まで5クラスに分かれている。どれだけ勝ち続けても1年に1クラスしか昇級できないのでA級到達まで最短でも5年かかる。
2月1日の順位戦で勝利を収めた藤井さんは、C級2組から一期でのC級1組への昇級を決めた。仮にこのまま毎年昇級すると、19歳でA級に到達できる。A級の最高成績者は『名人』への挑戦権を得られるので、“10代名人・藤井聡太”が生まれる可能性がある」
もちろん簡単な道ではない。中学生でプロ棋士となった羽生竜王や谷川浩司九段(55)、加藤一二三九段(78)でも「10代名人」は果たせず、名人位を獲得したのは羽生竜王が24歳、谷川九段が21歳(史上最年少記録)、加藤九段は42歳だ。
「ただ、藤井さんは1月に佐藤天彦名人(30)との公式対局で勝利を収めた。現時点で棋界トップクラスの実力がある証左で、“史上初の10代名人あり得べし”と夢見てしまう」(松本氏)
松本氏は17日の羽生戦について、「1991年の大相撲で当時10代の平幕・貴花田が大横綱・千代の富士に挑み、大金星をあげた一番を思い出します」と表現する。