1月25日、自民党第3派閥の平成研(額賀派)でクーデターが起きた。同派の参院議員21人全員が派閥の例会を欠席し、額賀福志郎・会長に退任要求を突きつけたのだ。
“黒幕”と目されたのが“参院のドン”と呼ばれた青木幹雄・元参院議員会長だ。8年前に引退したが、今も派閥運営に力を持つ。政治ジャーナリスト・藤本順一氏が語る。
「額賀氏が派閥会長になれたのは反安倍、反麻生の急先鋒だった野中広務氏の後押しがあったから。当然ながら首相との関係は悪く、平成研は長く冷や飯を食わされてきた。しびれを切らした青木氏は前回の改造人事で弟分の竹下亘氏を総務会長に押し込んだ。額賀氏を外すことで、首相の三選支持を鮮明にして擦り寄り、主流派入りを狙っているわけです」
その先には、青木氏が「将来の首相候補」と公言してはばからない平成研のプリンセス・小渕優子氏を“ポスト安倍”に仲間入りさせる道筋も透けて見える。
青木氏は権力側につくのが得意だ。92歳で死去した野中氏は、2003年の自民党総裁選で敵に寝返った派閥の先輩議員に失望し、「毒まんじゅうを食った人もいる」という言葉を残して政界を去った。その総裁選では、青木氏は参院をまとめて派閥の敵だった小泉純一郎首相を裏から支援し、主流派の清和会(現・細田派)に恩を売った。野中氏はそのことを「上手に食った人もいる」と指摘した。今回の“額賀おろし”はその再現である。
自民党では青木氏の盟友である引退した長老たちが党や派閥に口を出している。森喜朗・元首相は“五輪のドン”として君臨し、宏池会名誉会長の古賀誠氏は岸田文雄氏と野田聖子氏の2人の総裁候補を操っている。高村正彦・副総裁は異例なことに引退後も党ナンバーツーの重職に座ったままだ。