鉄道会社に務める鉄道ファンを取材する本シリーズ。これまで京浜急行の“乗り鉄”社員、京王電鉄の“撮り鉄”社員、東武鉄道の“模型鉄”社員にご登場いただいたが、相模鉄道(相鉄)の取材現場には2人の社員がいた。湘南台駅ほか計3駅の駅長を務める石井昌章さん(59)と、経営管理部で働く谷口清和さん(52)。この2人、取材の2週間前にも極寒の北海道でラッセル車を撮影してきたという。気温はマイナス17度──。
1977年に相模鉄道に入社し、車掌や運転士などを経て現在は駅長を務める石井さんは、鉄道に乗るのも、鉄道を撮るのも好きな、根っからの鉄道ファン。SLが特に好きだという。SL好きのルーツは、中学生時代に遡るそうだ。
「当時はちょうどSLがなくなりそうな時代だったんです。高校生になるとアルバイトをしては北海道に行ってSLの写真を撮っていました。鉄道会社に就職すると、一時期は鉄道趣味から引いた時期もあったんですが、只見線(※注/福島県会津若松市の会津若松駅~新潟県魚沼市の小出駅)にSLが復活すると聞いて、『これは行かないとマズい!』と思い、一気に再燃しました」(石井さん)
近年は、月に1~2回のペースで撮影旅行に出かけているという石井さん。「今は旅に行きがてら写真を撮る程度」と謙遜するものの、その腕はプロ顔負けだ。
「先々週、撮りに行った『宗谷』はJR北海道さんのラッセル車です。近年、ラッセル車の撮影がちょっとしたブームになっていて、要所要所にはファンの方がいて、SLブームのような感じになっているんです。現地ではそれで町おこしをしています」(同前)