「報道ステーション」(テレビ朝日)のスポンサーの1社としても知られるアイリスオーヤマ(本社は宮城県仙台市)。CMでは、LEDのシーリングライトや炊飯器の「量り炊き」という、同社の代表的な商品が映し出される。
LED電球・蛍光灯と炊飯器について価格.comで売れ筋人気ランキング(2月上旬時点)を見てみると、前者のLED電球で最も多くランクインしていたのがパナソニック、次いでアイリスオーヤマ、そして東芝の順だった。後者の炊飯器は象印が圧倒的でタイガー魔法瓶も多いが、アイリスオーヤマ製も何品かはランクインしていた。
アイリスオーヤマといえば、ひと頃まではホームセンターで売られている園芸・ペット用品や中身が見える収納箱などの商品イメージが強かったが、いまでは同社の代名詞ともいえるのがLEDのビジネスだ。
LED照明事業に本格参入したのは2010年のこと。いまでこそ日常風景となって家庭内に浸透したLED電球ながら、かつては「節電にはなるけど値段が高いから」との消費者の声から、なかなか普及が進まなかった。そこを打破したのがアイリスオーヤマなのだが、同社の大山健太郎社長はかつて、こう語っている。
「LED電球がまだ出始めの頃、価格は6000円ぐらいした。少し下がって4000円になっても、普通の電球が1個100円で買えるのに、誰が4000円で買うんやと思いましたね。また、売れ始めたといっても、それは環境への意識がすごく高い人たちの間でのこと。普通の主婦感覚なら4000円でもあり得ません」
そこで生活者目線に立って2000円のLED電球を開発した。なぜ、2000円だったのか。大山氏は、照明の電気代が年間平均で2000円だとすれば、消費者は1年で元が取れると考えた。また、LED電球に変えることで照明の電気代が激減し、2000円で買っても2年目からはお釣りがくると弾いていたのだ。そうなって初めて消費者は購買意欲が湧き、元を取るのに5年もかかったら、特に家計を預かる主婦は動かないという仮説だった。
ただ、安かろう悪かろうでも主婦は動かない。そのあたりの損得勘定は主婦はシビアだからだ。が、アイリスオーヤマ製のLED電球を試し買いし、明るく、切れない、低コストを消費者が実感できたからこそ、同社製品が支持されたといえる。
そこで疑問が湧くのは、大手家電メーカーのようなスケールメリットが活かせる企業でも、なかなかLED電球の低価格化に時間がかかったのに、アイリスオーヤマでは品質を確保したうえで、なぜそれが実現できたかだ。