毒舌と巧みな司会術でテレビ局から引っ張りだこなのが坂上忍(50才)。中でも、彼にもっとも頼っているテレビ局がフジテレビだ。いったいなぜか。その背景に迫ると、3つの理由が見えてきた。コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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先日、3月で放送終了する『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系、以下『みなおか』に略)の後番組に「坂上忍さんの新番組が決まった」と複数紙が報じました。現時点では正式発表されていないものの、有力であることは間違いなく、実現したらフジテレビでは『バイキング』(月~金曜11時55分~13時45分)、『ダウンタウンなう』(金曜21時55分~22時52分)に続くレギュラーとなり、毎週約12時間も出演することになります。
さらに、昨年秋以降だけでも10月27日に『坂上忍と大激論!ニッポンの危機』、12月19日に『坂上忍のどうぶつ珍プレー好プレー大賞』、12月22日に『バイキング・ザ・ゴールデン』、今年1月1日に『ニッポンよ!世界を倒せ!フジヤマ』、1月27日に『坂上探検隊』と、テーマの異なる多くの特番でMCを担当。なかにはレギュラー化を強烈に意識したものもあり、局内にはさらに出演番組が増えそうなムードが漂っています。
◆過去のピンチで見せた男気と実績
フジテレビは、なぜ坂上忍さんへのオファーを続けているのか。私が取材した限りでは、以下3つの理由が考えられます。
1つ目の理由は、芸人にオファーを出しにくく、芸人がオファーを受けにくい状況。『みなおか』の後継については、「後輩芸人がやりにくい」という心境なのは間違いないでしょう。とんねるずというレジェンド芸人のあとを務めるのは大きな負担であり、実際に某芸能事務所のマネージャーから「企画の良し悪しや視聴率うんぬんとは別の問題で避けたい」という声を聞きました。
また、現在フジテレビでは、明石家さんまさん、内村光良さん、ダウンタウン、さまぁ~ず、ネプチューン、上田晋也さん、有吉弘行さん、雨上がり決死隊、バナナマン、若林正恭さんなど、すでに多くの芸人がMCを務めているだけに、「その番組に力を注いでほしい」という側面もあるでしょう。
2つ目の理由は、坂上さんの男気と実績。2014年春に『笑っていいとも!』が終了したとき、今回同様に「偉大なタモリさんのあとはやりづらい」というムードが漂っていました。そんな状況の中、後継番組の『バイキング』は特定の芸人に任せるのではなく、“曜日替わりMC”という形を採用。坂上さんは芸人以外では唯一MCを引き受け、しかも週頭の月曜日を担当しました。
しかし、番組の視聴率は低迷。何度となく打ち切り説が流れる中、坂上さんは「リスクを承知の上で、2015年春から全曜日のMCを引き受け、視聴率を引き上げた」という実績があるのです。
『ダウンタウンなう』も番組スタートから視聴率は低迷していましたが、坂上さんをプレゼンターに迎えた「本音でハシゴ酒」を軸に据えてからは、視聴率も話題性もアップ。ダウンタウンの冠番組であるにも関わらず、実質的な司会進行を坂上さんが行っているのもポイントの1つと言えます。
◆「本音」がフジテレビのキーワードに