「奨学金」といえば、かつては成績優秀な苦学生のためのものだったが、いまや奨学生の実態は大きく変わった。国の奨学金制度が拡充され、成績や親の収入などの基準が緩和され貸与枠も大幅に拡大されたが、一方では“奨学金破産”が社会問題になっている。奨学金の延滞率(※奨学金貸与終了者のうち、3か月以上返済が滞っている人の割合)をもとに「卒業後の生活力」という新しい視点で大学を比較していくとどうなるのか? 関西の私大を比較してみた。
関西圏の有力私大の特徴は、奨学金受給率は高いが、「延滞率」が低いことだ。関西私大のトップ校とされる「関関同立」(関西、関西学院、同志社、立命館)の延滞率は0.8~0.9%と早稲田(1.0%)より低い。「偏差値」の序列では早稲田の方が上だが、奨学金を滞りなく返せる卒業生を輩出しているのは関関同立なのだ。
難易度では次のランクの「産近甲龍」(京都産業、近畿、甲南、龍谷)も受給率は軒並み40%台だが、延滞率を見ると関東の「日東駒専」より低い水準だ。とくに甲南大は延滞率0.7%と、慶應と並んで私大トップクラスの「奨学金返済力」を誇る。私大の卒業生で比べると、返済能力には“西高東低”の傾向が読み取れる。
※週刊ポスト2018年2月16・23日号