かつての日本社会は、ほぼ全員が結婚する「皆婚社会」を誇り、生涯未婚率(50才時点での未婚率)は1990年まで5%前後で推移した。しかし2015年の国勢調査の結果で生涯未婚率は男性23.4%、女性14.1%と過去最高を記録した。2030年には男性の3人に1人、女性の4人に1人が未婚との予測もある。
「皆婚社会」を支えたのは日本独自の結婚システムだった。その1つが「お見合い」だ。見合い結婚は戦前に7割を超え、その後、減少したものの1960年代まで日本人の結婚の過半数を占めた。
もう1つの要素は「職場結婚」。かつては職場のお節介な上司が“キューピッド役”となって部下の結婚を促した。実際、お見合いと職場結婚の減少と歩みを同じくして、日本人の生涯未婚率が増加したとの指摘もある。
ならば、かつての「お見合いとお節介」が復活すれば、結婚が増えるのではないか。そんな仮説を実証する試みが福井県で行われている。
「若い人のお世話をすることでエネルギーをもらっていますよ。時には“お節介おばさん”と呼ばれるけど」
そう笑顔を見せるのは、福井県在住の高橋美智子さん(仮名)。県の事業「地域の縁結びさん」で独身男女を引き合わせるボランティアを行う高橋さんは、今年度すでに10組のカップルを成婚させた。
福井県内には高橋さんのような「縁結びさん」が約230人いる。結婚を希望する男女はまず、福井県が運営するサイト「ふくい婚活カフェ」に掲載されている縁結びさんに連絡する。
「その後、相談者の趣味や希望などを参考にして、『こういうかたがいるけど、そちらはどうですか』と別の縁結びさんに相談して、条件が合いそうだったらお見合いをセッティングします」(高橋さん)
喫茶店の個室で開催される最初のお見合いには、当事者同士と高橋さん、相手側の縁結びさんの4人が参加。その後に1対1のお見合いをセッティングする。
◆縁結びさんの存在が未婚率を押し下げた
高橋さんの強みは、アフターフォローを欠かさないことだ。とくに「3・3・3の法則」は口うるさく伝える。
「1対1のお見合いの後、3時間後にお互い連絡を取り合い、3日後までに次に会う日を決めて、3週間以内にデートをするよう勧めます。この法則を実行してくれたかたはスムーズに結婚まで進むことが多いんです」(高橋さん)