平昌五輪でメダルの期待が高まるカーリング。ストーンを投げて得点を競うゲームだが、あの不思議な形の“石”については、ほとんど知られていない。実は、ひとつひとつのストーンに「クセ」もあるのだという。カーリング取材を続けるスポーツライターの竹田聡一郎氏が解説する。
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カーリングといえば、“シャカシャカ”ことスウィープとストーン。以前、『カーリングのシャカシャカに潜む「深い意味」と「お値段」』という記事でスウィープについて解説したが、今回は「ストーン」についての素朴な疑問に答えよう。
「あのストーンって特別な石を使っているの?」
イエスだ。カーリング発祥の地・スコットランド本土から10マイル西の沖に浮かぶ無人島・アルサグレイグ島でしか産出されない特別な花崗岩を使用している。昨年末に公開され、ロングラン・ヒット中の 『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』でルークが身を寄せていたスケリッグ・マイケル島に似たこの秘境は、マグマが冷えてできあがった孤島である。そこで採れる石はダメージに強く、同時に繊細な曲がりも可能なカーリングストーンを作ることができるのだ。ただ、面積1平方キロメートルに満たない小島であるため、アルサグレイグ産の花崗岩は限られており、接氷面などを中心にアルサグレイグ産が使用されている。
では、そんなレアな花崗岩をあしらったカーリングストーンのお値段はといえば、1個あたりざっと10万円もする。カーリングは両チーム4選手が2投ずつを担当するので、試合には16個のストーンが必要になる。1セット160万円だ。
すると「選手はみんなマイストーンを持っているの?」という疑問が続けて生じる。
それはノーだ。国内トップ選手でも家にストーンを飾っているという話は聞いたことがない。
ストーンは基本的にカーリングホール、あるいは当地のカーリング協会の所有物である。平昌五輪女子代表チームのロコ・ソラーレ北見のホームリンク「アドヴィックス常呂カーリングホール」や、同じく男子代表のSC軽井沢クラブのホーム「軽井沢アイスパーク」など、国内最大サイズのカーリングホールは6シートあるため、最低でも6セットつまり96個の石が常備されている。それだけで960万円だ。