「港区」では夜な夜な、実業家や外資系金融勤務、医者や弁護士といった“ハイスペック男性”と、それをつかまえようとする「港区女子」たちがキラキラした飲み会を繰り広げている。だが、そこはお金を持つ百戦錬磨の男たちと美貌を売りにする女たち、様々な駆け引きが起きる。現役港区女子でコラムニストの吉川リサコ氏が、“凄腕の2人”についてリポートする。
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某保険会社のトップセールスマンのケンタは、日替わりの彼女がいる。そんな彼は、飲み会で必ず出だしにこのセリフを言う。
「俺、ブスほんと嫌い。ブス苦手なの。けど今日は、めーちゃ可愛いじゃん! はい、カンパーイ!!」
そのセリフは「相手が人間でもゴリラでも同じ」だと、酷い言い方をしていた。ケンタの日替わり彼女5人を私は全員知っているが、皆ケンタの好みである「キツイ顔で胸が大きい」という共通する特徴はあれど、特に目を引くほど可愛い子はいない。
「ブス」という言葉は、間違いなく中傷だ。もちろん反感を買うこともあるし、不愉快になる女子もいるが、それはこのセリフを吐かれた上で、相手にされなかった場合のこと。このセリフのあとに「君は可愛い」と言われたら、悪い気はしない。
「あ、この人わかってる」
「口説かれたってことは私は可愛いってことね」
最初構えた女たちも納得するのである。この心理を利用して、ケンタは毎日のように新しい彼女候補を獲得する。ハイスペック男はたいてい女好きだが、特にケンタのような男性にとって、彼女を作るという概念は一般人とはまったく違う。飲み会は自分の力量を試す場なのだ。完全ゲーム感覚である。
港区女子のユリエもまた、そんな女であった。北川景子みたいな美貌とスタイルは、飲み会の場でもパッと華が咲く。でも、こんな言葉を繰り出すのだ。