昨年、女性記者の過労死問題に揺れたNHKで「働き方改革」が進んでいる。ところが、“局員の過重労働を防ぐ”ための制度が、逆に猛反発を買っている。それは、「スマホによる出退勤打刻」で、報道局の記者などを対象に今年2月初めから試行運用されており、3月には本格導入されるというものだ。
「勤務開始時と業務終了時に打刻すれば、会社のパソコン上の『出勤―退勤』データに反映される仕組みです。現場に直行、直帰する時でも打刻できるので、労働時間を管理しやすいというのが局側の説明。しかし、GPSと連動しているので、“どこで働いているか”という位置情報も記録されてしまう。記者の間では“24時間監視だ”と不満が噴出している」(NHK局員)
記者からは、「取材源が特定されてしまい、相手に取材を拒否されかねない」という意見のほか、「どこに行ったかが筒抜けになるから、アフターファイブでも気が抜けない」(別の局員)との“本音”も漏れる。
今年1月に開かれた説明会でNHK報道局が記者に配布した「スマホ打刻試行運用指針」にはこんな一文がある。
〈打刻の位置情報は、記録・保存するだけで、日常の勤務管理では使用しない。ただし、不正の疑いがあって、所属長が事実関係の確認に必要と判断した場合には、使用することができる〉