3月11日に初日を迎える大相撲春場所。先場所、途中休場に追い込まれた横綱・白鵬、稀勢の里は復活を遂げるのか、平幕優勝を果たした栃ノ心はどんな相撲を取るのか──そういった土俵上の動きとは、全く別のところに関係者の注目が集まっている。春場所後に待つ「理事長選」の行方である。
相撲協会の理事長は10人の理事による互選で決定する。メディアの大きな注目を集めた2月2日の理事選では、昨年11月の日馬富士暴行事件以来、執行部との対立が先鋭化していた貴乃花親方(45)が獲得票数「2票」で落選した。
「当選した理事で貴乃花親方に近いとされるのは、同じ一門の阿武松親方(元関脇・益荒雄、56)と前回理事長選で貴乃花親方に投票した山響親方(元前頭・巌雄、47)の2人だけ。だから当初は、『八角理事長続投』は確実視されていました。それが、ここにきて風向きが変わりつつある」(協会関係者)
きっかけは理事選翌週、貴乃花親方がテレビ局のインタビューに相次いで応じたことだった。協会側がまとめた暴行事件の調査報告書が事実と異なると主張し、被害届を取り下げるよう要請してきたことまで“暴露”したのである。
「執行部側の親方の一部にも、『理事選後は貴乃花親方と協力して協会を立て直そう』という声があったが、この“爆弾告発”でそんなムードは一気に吹き飛んだ。執行部は貴乃花親方への追加処分を検討しているとさえいわれます。一方で、理事選が終わっても混乱が収束しないことから、『八角理事長(元横綱・北勝海、54)のままでいいのか』という危機感が協会内に出てきたのも事実だ」(同前)