日本人の4人に1人が苦しむ花粉症の季節がやってきた。近年はさまざまな治療法が確立しているが、良かれと思って受けた治療に、思わぬ副作用やリスクが潜んでいることがある。
多くの花粉症患者が訪れる代官山パークサイドクリニックの岡宮裕院長は「話題の花粉症治療の副作用」に警鐘を鳴らす。
「患者さんの多くが、辛い症状をなんとかしてほしいと、テレビや新聞で知ったあらゆる治療法を求めてやってきます。その気持ちはわかります。しかし症状の改善を優先するあまり、副作用リスクを軽く考えてしまう人も少なくありません」
例えば、2014年10月に保険適用になり、新聞やテレビで取り上げられた「舌下免疫療法」。少量のスギ花粉エキスを舌下にたらし、2分間そのままにして飲み込む。それを2年以上毎日続けることで、スギ花粉に対する免疫が養われ、花粉症の根治療法として期待できるという。
医薬品名はシダトレン。販売元の鳥居薬品によると、推計約8.9万人(2017年12月時点)が使用している。近年、多くのクリニックで導入が進んでいるが、この薬は保険適用と同時に副作用が問題視されてきた。
日本鼻科学会が2014年に公開した『アレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法の指針』に、重大な副作用としてアナフィラキシーショックの可能性があるとしたのだ。さらに国内臨床試験で19.5%の人に副作用が認められ、主な症状に口内炎、咽喉頭そう痒感、口腔内腫脹なども報告されている。