また、児童・生徒によるいじめや先生によるパワハラの問題もAIのディープラーニング(深層学習)で対応可能だ。全国の学校の過去の事例をコンピューターに入れておき、似たような事例を調べてAIに的確な対処法を聞けば、大方の問題は解決できるだろう。

 では、そういう中で生身の人間である先生の役割は何か? それは親の役割と無限に近いものである。たとえば、人間の徳や倫理、生きる方法、社会のルールを教えると同時に、本人の能力を見抜いて的確な進路指導をすることだ。すなわち「メンター(助言者)」としての役割である。

 さらに重要なのは「答え」を児童・生徒と一緒に考えることだ。それはすでにデンマークやフィンランドなどの北欧を中心に20年くらい前から取り組まれている教育であり、そこでは先生は答えを“上から”教える「ティーチャー」ではなく、児童・生徒に答えを自分たちで考えることを促して議論を活発にする「ファシリテーター(促進者)」としての役割を担う。

 20世紀の教育は、最初から「答え」があって、児童・生徒にそれを覚えさせるトレーニングだった。しかし、21世紀は「答えがない」時代であり、先生も答えがわからない。そこでは、自分で質問して論理を組み立てて答えを推測し、クラスの仲間と議論する中でリーダーシップをふるって周囲の人たちを説得して一つの結論に導く(答えにたどり着く)能力が求められる。

 先生は、そういう能力を児童・生徒から引き出すために、「君はどう思う?」「あなたの意見は?」というように平等な議論のプロセスを主導する存在に徹しなければならないのだ。もちろんクラスの中でそういう議論を推進する能力のある児童・生徒がいれば、どしどし役割を入れ替わって“リーダーシップ”を発揮してもらう。それを見抜くのも指導者の役割、ということになる。

関連記事

トピックス

群馬県前橋市の小川晶前市長(共同通信社)
「再選させるぞ!させるぞ!させるぞ!させるぞ!」前橋市“ラブホ通い詰め”小川前市長が支援者集会に参加して涙の演説、参加者は「市長はバッチバチにやる気満々でしたよ」
NEWSポストセブン
ネットテレビ局「ABEMA」のアナウンサー・瀧山あかね(Instagramより)
〈よく見るとなにか見える…〉〈最高の丸み〉ABEMAアナ・瀧山あかねの”ぴったりニット”に絶賛の声 本人が明かす美ボディ秘訣は「2025年トレンド料理」
NEWSポストセブン
千葉大学看護学部創立50周年の式典に出席された愛子さま(2025年12月14日、撮影/JMPA)
《雅子さまの定番カラーをチョイス》愛子さま、“主役”に寄り添うネイビーとホワイトのバイカラーコーデで式典に出席 ブレードの装飾で立体感も
NEWSポストセブン
審査員として厳しく丁寧な講評をしていた粗品(THE W公式Xより)
《「脳みそが足りてへん」と酷評も》粗品、女性芸人たちへの辛口審査に賛否 臨床心理士が注目した番組冒頭での発言「女やから…」
NEWSポストセブン
12月9日に62歳のお誕生日を迎えられた雅子さま(時事通信フォト)
《メタリックに輝く雅子さま》62歳のお誕生日で見せたペールブルーの「圧巻の装い」、シルバーの輝きが示した“調和”への希い
NEWSポストセブン
宮崎あおい
《主演・大泉洋を食った?》『ちょっとだけエスパー』で13年ぶり民放連ドラ出演の宮崎あおい、芸歴36年目のキャリアと40歳国民的女優の“今” 
NEWSポストセブン
日本にも「ディープステート」が存在すると指摘する佐藤優氏
佐藤優氏が明かす日本における「ディープステート」の存在 政治家でも官僚でもなく政府の意思決定に関わる人たち、自らもその一員として「北方領土二島返還案」に関与と告白
週刊ポスト
大谷翔平選手と妻・真美子さん
《チョビ髭の大谷翔平がハワイに》真美子さんの誕生日に訪れた「リゾートエリア」…不動産ブローカーのインスタにアップされた「短パン・サンダル姿」
NEWSポストセブン
会社の事務所内で女性を刺したとして中国籍のリュウ・カ容疑者が逮捕された(右・千葉県警察HPより)
《いすみ市・同僚女性を社内で刺殺》中国籍のリュウ・カ容疑者が起こしていた“近隣刃物トラブル”「ナイフを手に私を見下ろして…」「窓のアルミシート、不気味だよね」
NEWSポストセブン
石原さとみ(プロフィール写真)
《ベビーカーを押す幸せシーンも》石原さとみのエリート夫が“1200億円MBO”ビジネス…外資系金融で上位1%に上り詰めた“華麗なる経歴”「年収は億超えか」
NEWSポストセブン
神田沙也加さんはその短い生涯の幕を閉じた
《このタイミングで…》神田沙也加さん命日の直前に元恋人俳優がSNSで“ホストデビュー”を報告、松田聖子は「12月18日」を偲ぶ日に
NEWSポストセブン
高羽悟さんが向き合った「殺された妻の血痕の拭き取り」とは
「なんで自分が…」名古屋主婦殺人事件の遺族が「殺された妻の血痕」を拭き取り続けた年末年始の4日間…警察から「清掃業者も紹介してもらえず」の事情