北朝鮮4、アメリカ1、日本0──。平昌五輪のメダル数ではない。
開会式出席のために訪れた北朝鮮の最高指導者・金正恩氏の妹、金与正氏には韓国政府による食事接待が4回も行なわれたのに対し、アメリカのペンス副大統領は1回、日本の安倍首相は0回だったという韓国紙の報道だ。文在寅大統領が与正氏に敬意を払う態度は日本のテレビでも報じられたが、まるで金王朝の“属国”になったかのような振る舞いに見えた。
それだけではない。五輪に先立ち訪韓した美人団長率いる北朝鮮使節団に対し、韓国政府は移動のために高速鉄道を貸し切り、経由地には数百人の警官を配置するVIP扱いで、使節団はわがもの顔で韓国を闊歩した。
2月10日のアイスホッケー南北合同チームの試合には、北の美女応援団が押しかけ、“金日成のお面”をかぶって応援。五輪では選手だけでなく観客にも政治的、外交的アピールは禁じられているが、そんなルールなどお構いなし。しかも韓国統一省がわざわざ、「特定の人物でなく、北朝鮮で『美男のお面』と呼ぶものだ」と“弁護”する気の遣いようである。
核・ミサイル開発に邁進し、いままさに世界に向けて恫喝を繰り返している国をこれほど破格の待遇でもてなすことには、どんな背景があるのだろうか。元朝日新聞韓国特派員でジャーナリストの前川惠司氏が解説する。
「韓国の大統領が思い描く夢は、『南北統一』を実現し、“初代統一大統領”になって歴史に名を残すことです。文在寅大統領はもともと左派の反政府活動家であり、日本でたとえれば全共闘が政権を取ったようなもの。とりわけ北朝鮮へのシンパシーが強く、統一への憧れが感じられます」