2018年2月の世界同時株安では、個別銘柄のみならず、分散投資する仕組みから老後資産の投資先として人気を集めている「投資信託」(以下、投信)も影響を受けた。モーニングスターのファンド分析部マネージャー・武石謙作氏の分析だ。
「1月31日から2月9日までの期間の騰落率を見ると、株式に高い比重を置いた投信は国内外を問わず軒並みマイナスで、特に昨年大きく上がった国内小型株ファンドは反動もあって大きく下がりました。
一方、国内の中長期債に投資するファンドは小幅とはいえプラスとなり、下落相場での強さを示しました。リスクを抑えるのであれば債券型ファンドですが、リターンも低い傾向にあります。ある程度の上昇も望みたいという方には『マルチ・セクター・ボンド』タイプの投信です。これはさまざまな債券に分散投資してリスクを抑えながら利回りの向上を図るというのが特徴です」
株価が下がると、株と比べて安定的に運用できる債券に投資家たちが集まるため、債券を組み込んだ投信は強さを発揮する。
幅広い債券を組み込んでいるマルチ・セクター・ボンド型で、今回の暴落時でも底堅さを見せたのが野村PIMCO・世界インカム戦略ファンドAコースだ。
日経平均株価に連動し、これまで右肩上がりを続けてきたダイワ上場投信-日経225が、2月5~9日まで5.8%も下落する中、前出の野村・PIMCO世界インカムはわずか0.5%の下落で踏みとどまった。楽天証券経済研究所のファンドアナリスト・篠田尚子氏は、こう話す。