カーリングの日本代表チームは、男子が「SC軽井沢クラブ」、女子が「ロコ・ソラーレ北見」。国内で勝ち抜いたチームが丸ごとオリンピックに出場するかたちだ。なぜ、各チームから優秀な選手を選ぶ「選抜」にしないのか。「カーリングはチームワークが大事だから」というだけでは片付けられない“本当の理由”を、カーリング取材歴9年で、今回も平昌五輪の取材を続けている竹田聡一郎氏が解説する。
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平昌五輪も後半戦に突入し、カーリングもラウンドロビン(総当たり予選リーグ)はクライマックスだ。女子代表のロコ・ソラーレ北見(以下LS北見)は決勝トーナメント進出も見えてきた。男子日本代表のSC軽井沢クラブは2連勝が求められる正念場だ。
長年、カーリングを取材していると素朴な疑問をぶつけられることが多いのだが、最も説明が大変なのが「なぜ単独チームで代表を出すのか。選抜制にしないのか」という問いだ。
「カーリングはコミュニケーションが肝のスポーツなので各チームからピックアップした選手同士を組ませても、即興で結果は出にくい。何十試合も、あるいは数シーズン同じメンバーで過ごしてチームビルディングをしなくてはならない」
そう答えると、鋭い人は「じゃあ4年計画を組めばいいのでは」と返してくる。そうなると日本カーリング界の現状を踏まえた順序立てた説明を要するのだ。
今回の平昌五輪カーリング代表チームは、男女ともに地域名がついたスポーツクラブ、あるいはクラブチームだ。日本カーリング協会は2002年ソルトレーク五輪以来、いわゆる選抜チームではなく国内のトライアルで勝利した単独チームを五輪に送り出している。
例えば、サッカーなら昨季のJリーグを制した川崎フロンターレがロシアW杯に出場し、野球なら日本シリーズを制したソフトバンクホークスがそのままWBCの日本代表になる、といったイメージ。カーリングではそうしたかたちが通例だ。
そんな中、なぜ選抜制に踏み切れないかといえば(以下はあくまで個人の感想です)、理由は大きく分けて3つある。