2月14日、ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平がキャンプイン、米国での野球キャリアをスタートさせた。日本球界で成功させた二刀流を、メジャーリーグの舞台でも実現できるのか──。現地・アリゾナの様子をスポーツライターの田中周治氏がリポートする。
* * *
昨年12月にロサンゼルスで開かれた入団会見以降、日本のスポーツメディアでは「大谷二刀流」に関する派手な見出しが並んだ。
「全米が熱視線! 二刀流実現の可能性!」
「全米の注目する大谷! ファンのも殺到!」
アリゾナ州テンピで行われるスプリングトレーニングは、どれほどの騒動になるのだろう……そう想像しながらキャンプイン初日を迎えたが、キャンプ地のテンピ・ディアブロスタジアムの様子は、お祭り騒ぎとは程遠かった。
集まった取材陣は100名強。そのうちの8割が日本メディア。スタジアムのスタンドや周辺に合計数十名のファンがいたが、報道陣の存在の方が目立つような状況だった。
なんだ……話とずいぶん違うなあ……。それが正直な感想だ。アリゾナにしては珍しい雨交じりの天候が、余計寂しく感じさせたのかもしれない。
キャンプイン前日、球団広報部は、日本を中心としたメディアに対して、取材規制エリアなどの説明会を開いた。ティム・ミード広報部長自らが行った説明は丁寧で、それ自体は結構なことだと思う。報道陣サイドから言えば、取材の自由が規制されるルールは歓迎できないが、混乱を避けるためには協力しなければいけない面もあるからだ。