城郭の前では服部半蔵らに扮するイケメン忍者隊がお出迎え。「ゆるりと楽しんでくるのだぞ」とポーズを決めると女性客からは「キャー!」と黄色い声があがる。カメラのシャッターを切る外国人旅行客は「ファンタスティック!」と歓声を上げた──。2月中旬の昼下がり、平日にもかかわらず、名古屋城は5月からの木造復元工事を前にして観光客で溢れかえっていた。この盛況ぶりに名古屋城観光ガイドボランティアの栗田正昭さん(73才)が笑う。
「名古屋城は2016年度には191万人を超える来場者が。皆さんに来ていただけるのは本当にありがたい」
名古屋城だけでなく、今名古屋が沸きに沸いている。1月22日、名古屋市は2016年度に訪れた観光客数(推計)が過去最高の4727万人となったと発表した。
名古屋市といえば、かつて都市ブランド・イメージ調査で「行きたくない街NO.1」という不名誉な称号を獲得。また週刊誌などで「名古屋ぎらい」大特集が組まれ、今や全国的にネガティブなイメージが広まっている。
そもそも、名古屋はなぜここまで嫌われたのか。「名古屋ぎらい」は、1980年代にタモリが「東京と大阪に挟まれて独特のコンプレックスがある」「名古屋人はエビフライをエビフリャーと呼んで好んで食べる」などと揶揄したことが始まりだ。
名古屋ぎらいの記事では、「名古屋人は見栄っ張りで結婚式を派手にしたがる」、「天むすやトンテキなど、名古屋飯とされているものが実は三重県発祥だった」という“パクリ”疑惑などが報じられた。その他にも「多くの車がウインカーを出さずに車線変更し、クラクションを鳴らしまくる」という“名古屋走り”や「エスカレーターでは他の都市のように、急いでいる人のために片側を空けることはせず、両側とも歩かず立ち止る」、「新装開店の時に贈られる祝い花を抜き取って持って帰ってしまう」など、他県からすれば驚きの習慣が伝えられた。
◆名古屋走りが消えた!
その名古屋がいつのまにか“愛される都市”へと変貌を遂げていたというニュースを聞いて、その真相を確かめるべく、本誌・女性セブン記者は名古屋へと向かった。