人生の幸福度を高めるのは何か。お金か、自由な時間か。そんな興味深い心理学の研究発表から、諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師が、限りある人生を、いかに生きるかについて考えた。
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カナダのブリティッシュコロンビア大学が、興味深い心理学の研究を発表している。「お金をもつこと」以上に「自由な時間をもつこと」に価値があると気づいた人は、人生の幸福度が高いことがわかったという。
この研究は総数4600人を対象に行われた。給料は高いけれど、労働時間が長い仕事と、給料は安いけれど労働時間が短い仕事、どちらがいいか、といった質問をした。その結果、より多くの自由な時間をもつことが、より多くのお金を手に入れることよりも、幸福感や人生の満足度を高めることがわかった。
でも、幸福感が高いからといって、すべての人が「自由な時間」を選ぶとは限らない。むしろ、「お金」のほうを優先してしまう人のほうが多いのではないか。時には積極的に、時にはやむを得ず。
この研究で、納得できるのは、年齢が上がるにつれて、お金より自由な時間を重視する傾向が強くなったことだ。人生の時間に限りがあることを、本当の意味で気づいた人こそ、「自由な時間」の価値をよく知っているということだろう。