中国政府が上海市内に「東京裁判記念館」を建設する計画を進めていることが明らかになった。完成すれば、江蘇省の南京大虐殺記念館などと同様に「抗日愛国主義運動の拠点」となる可能性が高い。中国共産党機関紙「人民日報」傘下の国際問題専門紙「環球時報」が上海交通大学東京裁判研究センター長の程兆奇教授の発言として報じた。
程教授は同紙の取材に対して、「東京裁判記念館設立に関する計画は、国内で早くから報じられており、現在進行中だ。東京裁判には重大な意義がある。日本の中国侵略戦争における個別の事件と異なり、東京裁判は日本全体の戦争行為への総括となっている」と前置き。
そのうえで、程氏は「東京裁判の結果を始めとする戦後レジームを認めることは、日本が戦争国家から国際社会に回帰するための前提だが、日本政府からは近年、東京裁判を否定する声が上がり続けている」と日本側の動きを牽制している。
また、記念館建設について、程氏は具体的に「「中国政府から昨年夏に許可が下りた。上海市当局などが市内で土地を選定中で、完成時期は今のところ未定だが、裁判関連の資料や写真のほか、裁判官や検察官、東条英機(元首相)らの姿を描いた巨大な油絵などを展示する予定だ」と語っている。
研究センターは2011年に設立されており、東京裁判の法廷記録(全80巻)や証拠文献集(全50巻)を出版し、ネット上で東京裁判の資料検索システムも構築しているほか、内外の識者を集めたシンポジウムも開催している。