臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になった著名人をピックアップ。記者会見などでの表情や仕草から、その人物の深層心理を推察する「今週の顔」。今回は、フィギュア男子シングルス銀メダリストの宇野昌磨選手に注目。
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フィギュアスケート男子で見事、銀メダルに輝いた宇野昌磨選手。人々を魅了した演技の素晴らしさもさることながら、会見やインタビューで見せた天然ぶりに注目が集まっている。そんな宇野選手の魅力とは何だろう。
表彰式の後、羽生選手が宇野選手の頭をなでていたシーンが印象的だった。相手の頭をなでるという仕草は、大人同士の間では、なかなか簡単にできるものではない。頭は、身体の中でも一番重要な部分のため、大人になると信頼できる相手にしか触らせないからだ。その時の宇野選手は嬉しそうに白い歯を見せて笑い、その様子だけで、羽生選手との関係がよくわかる。そんな彼を、羽生選手はリスペクトしながらも「本当にかわいい。弟分というより、ワンコに近い」と話す。
ワンコに近いかわいさということを考えてみると、つぶらな瞳で、まっすぐに自分を見上げるかわいさ、無邪気で嘘がなく、いつも一生懸命ということだろうか。そう思って宇野選手のインタビューを見てみると、確かに彼の笑顔には嘘がない。カメラを向けられほほ笑むことはあるが、営業スマイル的な作り笑いや、口元は笑っているのに目が怖いということがない。その表情はいつも自然で気負いがない。
メダル確定直後のインタビューでは、「1個目のループを失敗した時点で笑っちゃいました」とはにかむように笑った。彼は、このはにかむような笑顔をよく見せる。ゆるいウェーブのかかった前髪の間から、ちょっと見上げるようにあごを引き、大きな瞳で相手を見つめて恥ずかしそうに笑うのだ。あごを引いて恥ずかしそうに笑う仕草は、相手に茶目っ気やあどけなさを感じさせ、時には無防備にすら見えてくる。
弟さんによれば、宇野選手は人見知りらしい。答える際のこんな表情は人見知りのせいもあるだろうが、それが返って宇野選手の魅力を引き出している。また、話すのが得意ではないのに、頑張ってインタビューに答えようとすることで、あの天然ぶりが出てしまうらしい。
この時のインタビューでも、五輪にかけた熱い思いを聞き出そうとした質問に、明るい表情であっけらかんと「特別な思いは最後までなかったですね」とリポーターを見つめながら何度もうなずいていた。そこには何の計算もないのだが、リポーターには期待はずれの返答だったのだろう。「ありがとう」という声も小さく、インタビューを終えていた。