日本は、北は北海道から南は沖縄まで、細長い国土を持つ国。一口に「日本」と言っても、都道府県ごとに様々な特徴を持っている。
1年間に最も医療費を使うのは高知で、一人当たり44万4000円。そして最下位が年間約29万円の埼玉。約1.5倍もの格差がある。全国平均は約33万円で、高知は10万円以上も多い。上位グループには長崎、鹿児島など西日本勢が多く、西高東低となっている。
医療費と同じく西高東低となっているのが、「病院数」「病床数」や「医師数」「看護師数」だ(いずれも人口10万人当たり)。高知はどれも上位にランクインしており、特に病床数は1966年から不動の1位だ。誰もが気軽に病院を利用できる環境とも言えそうだが、経済学者で京都女子大学客員教授の橘木俊詔氏はこう見る。
「医療費の地域差の背景には総人口に占める65歳以上人口の割合、つまり高齢化率も大きく関わっています」
橘木氏が指摘する通り、高知は2014年の高齢化率が32.2%と、全国平均27.5%を約5ポイント上回り、全国2位に位置する。高齢化率と医療費の関係は高知に限ったことでなく、自宅での療養が難しい独居高齢者が多い地域、通院に不便な山間地域などであれば、病院が高齢者たちの介護・療養ニーズの受け皿とならざるをえない。政府は医療費の地域差是正を課題に掲げており、この4月からは国民健康保険の運営主体を市町村から都道府県に移管する「国保都道府県化」も実施される。