平昌五輪は日本選手団の解団式を迎えたが、あの盛り上がりの余韻はまだ続いている。特にカーリング女子の快進撃と笑顔は、多くの人の目に焼き付いていることだろう。テレビの生中継で、吉田知那美は満面の笑みでこう言った。「なっちゃーん! にっこにっこにー」──えっ? 今なんて? カーリング取材歴9年で、平昌五輪現地を取材した竹田聡一郎氏が、この言葉の謎に迫る。
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日本カーリング史上初のメダルを携え2月26日に帰国した日本代表ロコ・ソラーレ北見(以下LS北見)は、メダル獲得はもちろん、「もぐもぐタイム」をはじめ、「そだねー」などの北海道弁、強敵・韓国のスキップ「メガネ先輩」などなど多くの話題を提供し五輪を彩ってくれた。が、いまだにネットがザワついている案件がある。
「にっこにっこにー」だ。
順を追って説明したい。「にっこにっこにー」とは、女子高生が廃校の危機を脱すべくアイドルを目指し学校を有名にしようとする、新感覚アニメ『ラブライブ!』で出てくる言葉。その登場人物でアイドル候補のひとり「矢澤にこ」というキャラのセリフ兼キャッチフレーズだ。元AKB48のメンバー・渡辺麻友の「み~んなの目線を、いただきまゆゆ~」と同じようなもの、と言えばわかりやすいだろうか。
『ラブライブ!』は、元々はKADOKAWAの雑誌『電撃G’s magazine』がバンダイナムコグループのランティス社、サンライズ社……と続けるとどんどんカーリングの話と離れていくので割愛させてもらうが、とにかくLS北見の吉田知那美が五輪の全国放送生中継で「にっこにっこにー」を披露したのだ。
準決勝の韓国戦、試合前の選手紹介で吉田知那美は自分の番になると、まずはカメラを笑顔で覗きこみ、「なっちゃーん」と誰かに向かって呼びかけ、あのビー玉のような瞳を見開いた。
そして、両手の親指と人差し指と小指の3本を立てて左右に振る特有の動きをしながら、「にっこにっこにー」である。実況を担当したNHKの塚本貴之アナウンサーはさすがにスルーしたが、これにSNSなどがおおいに反応した。
「今の、まさか、にっこにっこにー?」
「カーリングで矢澤にこキタ。しかも可愛い」
「なんだ、ただのリアルか」
「にっこにっこにー、ついに五輪上陸」
「アスリートがやるとあんなにキレがあるもんなの?」
ライブライブのファン・通称“ラブライバー”が驚きながら喜んだ。少数だが、「武藤敬司?」というプロレスファンもいた(野暮な説明だが、武藤のキメポーズの指を立てる仕草が似ているからだろう)。