オープン戦開幕が近づく2月中旬、全国の書店に各社が発行するプロ野球選手名鑑が並び始め、大型書店では専用コーナーが特設される。都内の大手書店では、A4判3種、B5判6種、ポケット版8種、雑誌タイプ1種の計18種類が入り口近くに平積みで陳列されていた。
このうちベースボール・マガジン社、日刊スポーツ、スポーツニッポン、宝島社、廣済堂出版が刊行するものが球界関係者の間では『5大名鑑』と呼ばれる。
「1年に一度しか発売されない選手名鑑は、発売日が遅れると大きく売り逃してしまう。だから他社の発売日情報には常に注意しないといけないし、いかに内容で差別化を図るかが重要になってくる」(名鑑を発行する出版社関係者)
だから各名鑑に“個性”が光る。日刊スポーツ『プロ野球選手カラー名鑑2018』は、野球のデータを統計学的に分析した指標であるセイバーメトリクス(投手はアウトの内訳、球種、左右打者に対する被打率、奪三振率など、打者はアウトカウント別、左右&得点圏打率など)をグラフ化している。
スポニチの『プロ野球選手名鑑』は、各球団のスカウトやスコアラーから広報担当者まで“裏方情報”が充実しており、「プロ野球担当記者の必需品」(スポーツ紙記者)だという。
3種類の名鑑を発行するべーマガは毎年、キャンプ序盤に発売される『週刊ベースボール』本誌を、「12球団選手写真名鑑号」としている。
「これが日本一早く刊行される選手名鑑で、キャンプ地の宮崎・沖縄の空港や駅の売店などで重点的に売られます。ただ、選手のユニフォーム姿が解禁されるのは毎年2月のキャンプ初日なので、その写真が間に合わない。だから前のシーズンの写真を使い、新人や移籍組は入団会見の写真が掲載される。その他の名鑑は、各球団のオフィシャルカメラマンが撮った提供写真を使う。1人あたり2000円など有償での提供が多いが、無償の球団もある」(前出・出版社関係者)