「数学が苦手な人は借金をする可能性が高い」「年収が低い家庭の子は実技科目が得意」──“得意科目から人間性がわかる”をテーマに、評論家らが驚きの情報を紹介した2月21日放送のバラエティー番組『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)。その中で、“尾木ママ”こと尾木直樹氏(71才)から飛び出したこの発言が波紋を呼んでいる。
「国語が苦手な人は、圧倒的にいじめっ子になりやすいですね。特にこの5~6年間の大きな特徴なんですけども、相手の気持ちが全然わからないいじめっ子がものすごく増えてきた。どれだけ説明しても、被害者の気持ちになることができないんです」
世間の母親たちの反応はさまざま。「子供の国語の点数が気になる」「成績のいいいじめっ子も多い」「そもそも国語力ってなに?」──。
改めて尾木氏に真意を聞いた。「ぼくの44年間の国語教員としての経験則からの話です」と前置きしたうえで、こう解説した。
「国語力というのは、文章に書かれている内容を、自分なりに再現する力です。なので、国語テストの点数が高い低いとはちょっと違いますね。練習問題をたくさんこなしてある程度の成績を取れるという国語ではなく、想像力ともいえますが、“自分の意見や感想を自由に書く”という力が大切です。
30年以上いじめ問題を研究してきましたが、いじめっ子は、先生や上級生の受けはいいものの、自分の内面が非常に弱く精神的に自立できていない。自分の気持ちをうまく言語化できないから主張を無理矢理押し通そうとするし、人の心情を想像できないから抵抗なくいじめることができるということです。文章から状況や心情を読み取る読解能力や、作文能力が低い子に、いじめの加害者が多いというのは経験上まぎれもない事実といえます。そして国語力のないいじめっ子が急激に増えています」
OECDが行う『PISA』という国際的な学習到達度調査がある。「義務教育終了段階の15才児が持っている知識や技能を、実生活のさまざまな場面で直面する課題にどの程度活用できるかを評価」する調査で、「読解力」「数学的リテラシー」「科学的リテラシー」の3分野について3年ごとに調査が実施されている。
日本はすべての分野で上位に位置するものの、2015年の調査でも「読解力」の低さは指摘されている。