将棋ブームのなかで利用者が増えているのが「ネット将棋」だ。将棋連盟が運営している対局サイト「将棋倶楽部24」と連盟公認の「将棋ウォーズ」が人気。注目集まるネット将棋に、今回初挑戦したのが将棋好きとして知られるジェームス三木氏(82)だ。
小学生の頃から将棋が趣味で、脚本家になってからも、NHKの銀河テレビ小説で将棋を題材にしたドラマ(『煙が目にしみる』、1981年放送)の脚本も手がけた。それが縁で将棋連盟から四段免状ももらったという。その三木氏は、こう話す。
「2010年ほど前に黎明期のインターネット将棋を試したことがあるが、当時は参加者が少なく、対戦が成立せずにイライラしたんだ。今回、『ネット将棋』と聞いて、今の時代ならAIと勝負するのかと身構えていたけど、相手は人間なんだろ? 楽しみだ」
普段はパソコンをほとんど触らないという三木氏。「将棋倶楽部24」のサイトを開き、手順に従って登録すると、「持ち時間15分。切れて以降は1手60秒の秒読み」のルールを選んだ。
久々に真剣な対局をするという三木氏は、「矢倉」囲いに組んで様子を見た上で、中盤から攻めに転じた。最初はニコニコしながら、「いいねぇ」「タバコ吸いながらやるかな」「ちょっとモンでやるぞ」と軽口をたたいていたが、だんだん口数が減り、考える時間が長くなり、指先のタバコの火がフィルターに達しそうになることも。
結果は大接戦の末、158手目で三木氏が投了。ネット将棋の指南役としてこの勝負を横で観戦していた将棋に詳しいライター・松本博文氏は、「相手は恐らくアマ四段くらいの実力でした。どの局面でも相手が一手間違えればひっくり返る可能性がありました」と、好勝負を称えた。