スポーツ

伊調馨と栄和人氏 「パワハラ」めぐる主張が正反対の理由

2016年のリオ五輪でもセコンドについた(時事通信フォト)

 アテネ、北京、ロンドン、リオデジャネイロと五輪4連覇し国民栄誉賞を受賞した伊調馨が、レスリング協会の栄和人強化本部長からパワハラを受け続けてきた、と告白したことが注目を集めている(栄氏とレスリング協会はパワハラを否定している)。『週刊文春』3月8日号の記事をきっかけに、テレビのワイドショーやスポーツ紙などによる後追い報道が続き、改めて調査される見通しだ。一連の報道をみて「やっぱり、つらかったんですね」と漏らしたのは、元五輪担当スポーツ紙記者。

「栄さんは記者による囲み取材のときでも、伊調馨さんがあまりにマイペース過ぎるとよく話していました。初めて聞かされたときは、こんなことまで開けっぴろげに喋っちゃうんだと驚かされたものです。合宿でも、伊調さんへのあてこすりだとわかることを繰り返し、他の選手もいる前で言い続けていたと聞きました。かつては良好な師弟関係だったと思うのですが……」

 そもそも、二人はもともと、そりが合わないタイプの組み合わせだった、とレスリング関係者は言う。

「栄さんはすぐに手も口も出してしまうタイプ。しかも、説明もあまりうまくない。練習の最初と最後に全体に向けて話をするんですが、正直、何を言っているのか分からないことが多い。一方の伊調さんは、きちんと筋道をたてて物事を考えて話をしたい人。そして、一人で黙って考え込むことが多く、普段から言葉数も少ない。レスリングの話をするにしても、わかる言葉で理屈の説明をしてほしい伊調さんと、熱意と感情が先に出てくる栄さんでは、合わない部分のほうが多かったんじゃないですか」

 それでも、2008年の北京五輪で2連覇を果たした瞬間までは、危ういながらも信頼関係はあったのではないかと前出の記者はいう。金メダリストとなった翌日の一夜明け会見をきっかけに、二人の間の溝が深まり始めたのではないかと振り返る。

「姉の千春さんと姉妹で金メダルを目指したけれど、千春さんは銀。その千春さんにはげまされて金をとった馨さんと姉妹そろっての一夜明け会見で、二人が『引退』と言ってしまったんです。これを聞いて関係者、とくに栄さんはすごく慌てていました。誰にも相談せずに、いきなり会見で言ってしまった。10月に日本で女子世界選手権が開催予定でしたが、二人とも試合でケガをしていたので出場しないことは内心、織り込み済みだったようです。ただ、中継ホスト局である日テレとの関係もあるから、五輪がおわってすぐに出ないとはっきりわかる発言はしてほしくなかった。その後も、栄さんへの相談をせずに色々と決めることが続いて、師弟関係が壊れていったのかなと思います」

 北京五輪からの帰国後に二人とも引退を撤回し、約1年、姉妹でカナダに留学した。2009年12月の全日本選手権から復帰して、翌2010年4月からは拠点を東京に移した。その頃から現在にわたり、栄氏から伊調馨へのパワハラが続いていると言われている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

フジテレビの社長を辞任することを発表した港浩一氏(左/時事通信フォト)
《X子さん強制参加の誕生日会》フジ・港浩一社長が語った“編成幹部A氏関与”と「楽しませていただいてありがたかった」「思いが至らなかった」
NEWSポストセブン
会見前の会場の様子
「いつまで続くのか?」フジテレビやり直し会見…終わる時間をめぐり現場スタッフが涙目の大混乱「月9ドラマは放送休止も視野」「月10ドラマは関西テレビが放送を希望」
NEWSポストセブン
港社長、中居正広氏の
《とんねるず石橋貴明、直撃にショック隠せず》盟友・中居正広は引退、“育ての親”港社長は辞任「フジテレビを滅ぼすなよ」と歌った過去
NEWSポストセブン
渦中の被害者X子さんは港浩一社長(左)の「誕生日会」にも強制参加(時事通信フォト)
《フジテレビ問題》女性アナが参加する“港社長の誕生日会”に渦中の被害者X子さんが出席させられていた 会見時の「ないと信じている」発言に呆れる社員も
週刊ポスト
佐々木朗希のストレートに大きな異変が(写真/MLB公式Xより)
ドジャース入団・佐々木朗希の“球速が落ちている”深刻な懸念 SB元投手コーチが指摘する原因「大切に育てられすぎたツケが顕在化した」
週刊ポスト
ドジャースと山本由伸の入団交渉にも大谷は同席した(GettyImages)
大谷翔平の妻・真美子さん、ドジャース入り・佐々木朗希の私生活サポートに一役買うか 新たなスター候補を見守るあたたかなまなざし
女性セブン
水原被告の量刑は大谷次第か
「いつか子供を持ちたい」「デコピンの世話までしていた…」水原一平被告が明かした妻への感謝と罪悪感【裁判所に減刑求める申立書を提出】
NEWSポストセブン
24時間利用可能で人気を博す『エニタイムフィットネス』(AFP=時事)(本人Xより)
《丸出しサンタコスで若い女性がトレーニング》24時間ジム内で過激な動画を撮影してSNSに投稿…『エニタイムフィットネス』は「強い憤りを覚えます」「然るべき対応を行っていきます」と回答
NEWSポストセブン
水原一平容疑者の半生を振り返る(C)BACKGRID,Inc/AFLO
《大谷翔平との通訳生活》水原一平被告が申立書で主張した「過酷な労働環境」「給与水準」裁判所に情状酌量を求める
NEWSポストセブン
”地元愛”を貫いてきた中居正広(52)。藤沢市の人たちは今なにを思うのか──
《中居正広(52)電撃引退》〈めんどうを見なければならない〉卒業文集でみせた“リーダーの萌芽” と幼少期の可愛すぎる“アイドルスマイル” 地元から厳しい声も
NEWSポストセブン
フィジーが「強制送還」と判断した問題の2人(自身のインスタグラムより)
《金髪美女インフルエンサー(25)乱倫パーティー動画が拡散》“母親同伴”で参加した19歳青年の末路…「服を着なさい!」と一喝されて
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! フジサンケイグループ・日枝代表に直撃!ほか
「週刊ポスト」本日発売! フジサンケイグループ・日枝代表に直撃!ほか
NEWSポストセブン