放送作家でコラムニストの山田美保子氏が独自の視点で最新芸能ニュースを深掘りする連載「芸能耳年増」。今回は、芸能事務所とアスリートタレントの関係性について語る。
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五輪を筆頭に、国際大会で目立った成績を収めたアスリートに対し、「大手芸能プロダクションが獲得に興味を示している」という記事を主にスポーツ紙で目にする。
平昌五輪では、なんと言っても女子カーリング「LS北見」のメンバーが注目の的だ。
“もぐもぐタイム”に因んで、菓子メーカーがCMキャラクターとして起用するのではないかとか、CDデビューをさせるべく、接触を図ろうとしているレコード会社がある…などが代表的な記事だろうか。
ちなみに、“カーリング娘”に歌わせたいのは、かつて全国の方言ヴァージョンが出たことでも話題になった『DA.YO.NE.』ならぬ『SO.DA.NE』。フィーバーに冷静な本橋麻里選手が首を縦に振るとはとても思えないが、どうだろう。
確かに、そうした活動をするためには、芸能プロダクションに所属していたほうが何かと都合がいい。タレント性があるうえ、メダリスト。そんな彼女たちを迎えるべく、大手芸能プロダクションの中には専門の部署を有する会社も増えているところだ。
果たして、複数の大手芸能プロ幹部に聞いてみたところ、件のようなスポーツ紙の記事は、「記者がアスリートの固有名詞を挙げて『獲得に興味はあるか?』と聞いてくるので、『ないわけではない』ぐらいに答えているだけ」「なのに、読む人が読めば、それがどこのプロダクションであるか特定できてしまうような内容で書かれてしまう」と困惑気味だった。
「もしも本気で獲得しようと思っていたら、マスコミの取材に対して迂闊なことを言うわけがないじゃないですか」とも。
興味深かったのは、過去、五輪に出場したアスリートの獲得に動いたが、「本人に断られた」経験をもつ某芸能プロダクション幹部の話だった。
当時、誰もが抜群のルックスだと認め、素人から見てもタレント性が高いと見えた某女性アスリート。それこそ、すぐにCMやイベント出演が決まりそうな逸材だったが、なぜ、まとまらなかったかというと、本人に「まだ現役選手として上を目指したい」という強い意志があったからなのだそうだ。
実はプロダクションの中には、アスリートに特化した会社もあって、情報番組やテレビ局のスポーツ局に太いパイプをもっている。当然のことながら「アスリート・ファースト」なので、バラエティー寄りのオファーには慎重を期していると聞く。
アスリートが芸能プロに所属した先駆け的存在は、ホリプロ入りしたサッカーの武田修宏氏ではなかったか。同プロダクションの旧・文化事業部(現・スポーツ文化部)は武田氏を所属させるために設立された部署だったとも当時、言われていた。