そこで、キャンプ地で実際にロサリオのスイングを見た評論家たちの声を聞いた。すると一様に「近年の外国人選手では見たこともない理想的な打撃フォーム」という高い評価なのだ。全12球団のキャンプを視察した野球評論家・田尾安志氏はこう語る。
「“本物”だと判断しています。今のところ悪いところは全く見当たりません。上半身が突っ込まず、ヘッドが効いた強く叩ける構えができているので、どのカウントでも、どの球種がどのコースに来ても打てる。右打者の場合、軸となる右足に体重を残したままボールを見極められているかが重要なポイントのひとつで、ロサリオはそれができているから、見逃す時も体がピッチャー方向に泳ぐことがない。
僕がこれまで見てきた外国人選手の中ではラミレスが最高のバッターでしたが、ロサリオはそれを凌ぐパワフルなスラッガー。左右中間が深く、浜風もあってホームランの出にくい甲子園が本拠地でも3割、30本、100打点はクリアできると思います」
さすがに“年間100本ペース”はジョークであるにせよ、実力は十分という評価である。阪神番記者が続ける。
「メジャーリーグ時代(2011~2015年、ロッキーズ)のロサリオは3年間正捕手を務めており、来日にあたって球団にキャッチャーミットの作製を依頼している。ベンチ入りする捕手を2人にして、ロサリオを“いざという時のバックアップ”という扱いにすれば、リリーフ陣の登録枠を増やせる、といった構想も首脳陣は選択肢に入れている。そんな話が出ることからもわかるように守備にも安定感がある。その上、取材にも真面目に応じてくれるので、記者たちにもファンが多い」
昨季の阪神は新助っ人・キャンベル、ロジャースの2人を4番に固定できず、福留孝介や糸井嘉男ら「国産打線」で戦い、2位でシーズンを終えた。開幕4番が確実視されているロサリオが、期待を一身に背負うことになる。
※週刊ポスト2018年3月16日号