長生きはしたいけれど、ボケたくはないし、いつまでもしっかりとした状態でいたい。認知症になるのを防ぐことはできるのか。諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師が、認知症予防のための4つのポイントを紹介する。
* * *
今65歳以上の15%に当たる462万人(2012年時点)が認知症といわれている。認知症になる可能性がある軽度認知障害約400万人も合わせると、高齢者の4人に1人が認知症あるいはその予備軍ということになる。認知症の人は年々増え続け、2025年には700万人になると推計されている。
では、認知症にならないために、どんなことに注意したらいいのだろうか。4つのポイントがある。
一つ目は、糖尿病にならないようにすることだ。九州大学の福岡県久山町での研究では、糖尿病の人は血糖値が正常な人に比べてアルツハイマー型は2.1倍、脳血管性認知症は1.8倍、認知症の発症リスクが高いことがわかった。
糖尿病と認知症に共通するキーワードは、「慢性炎症」だ。脳血管性認知症は血管の動脈硬化が原因。動脈硬化の原因は慢性炎症だといわれている。アルツハイマー型は脳細胞そのものが変化して認知機能が低下する。これも脳細胞の慢性炎症ではないかといわれている。そして、糖尿病は全身で慢性炎症を起こしやすい。つまり、糖尿病を予防する運動や食生活が、認知症の予防にもなると考えられるのだ。