2015年の日韓合意によって解決したはずの慰安婦問題で、韓国側がまた新たな“燃料”を投下した。旧日本軍による“朝鮮人慰安婦虐殺”の映像を初公開したのだ。
平昌五輪閉幕直後の2月27日、ソウル市内で行なわれた慰安婦問題に関する「国際カンファレンス」で、ソウル大の研究チームによって発表された。問題の映像は、米国立公文書記録管理局にあったもので、終戦前の1944年、中国雲南省で日本軍に虐殺された朝鮮人慰安婦30人の遺体が捨てられる場面を、連合軍が撮影したものだという。
会議には日本の人権市民団体、中国の南京大虐殺記念館関係者も出席していた。さらに同席した朴元淳・ソウル市長が「あまりにも胸が痛む現実を私たちは直視している」とコメントしたことから、韓国メディアでは大きく取り上げられた。
これは新たな歴史問題の勃発か──と思いきや、翌日までにこれを取り上げた日本のメディアはほぼ皆無だった。慰安婦問題の報道に熱を上げてきた朝日新聞も、逆にそれを片っ端から否定し、批判してきた産経新聞も完全スルーである。元朝日新聞ソウル特派員でジャーナリストの前川惠司氏はこう解説する。
「まともに取り上げるには信憑性があまりに低いという判断だったのではないでしょうか。実際に映像を見ましたが、映っているのは虐殺の場面ではなく、中国人が死体のようなものの靴下を脱がそうとしている場面。これだけで日本兵の虐殺の証拠とどうやって断定したのでしょうか。
当時、連合軍は日本軍の残虐イメージを喧伝しようと材料を集めていた。発表では23人の生き残りの慰安婦が連合軍の捕虜となったとあるので、本当ならば彼女たちの詳細な虐殺に関する証言が残されているはず。それがこれまで全く出てこないのは不自然です」