◆不祥事は「まだまだ出る」
“取引材料”になりそうなのが各理事の職務分掌の割り振りだ。
「阿武松親方には本来、初めて理事になった親方の指定席である『相撲教習所長』が順当だが、より注目度の高いポストという“ニンジン”をぶら下げるのではないか。山響親方にも出羽海一門の理事として認め、地方場所担当のような権限の大きい役職を与える。そうして執行部側へ取り込み、貴乃花親方を孤立させていく算段だろう」(同前)
「貴の乱」の“掃討戦”は、今なお続いているというのである。それは、八角理事長ら執行部側の体制が盤石ではないことを意味する。
「今回の事件を経ても、“不祥事を内々に処理したい”という角界の体質は変わっていない。引退に追い込まれた日馬富士が堂々と伊勢ヶ濱部屋にコーチとして残っているのはその象徴で、世間の批判より、身内の論理を優先する。これでは、不祥事が続発する流れは変わらない」(ベテラン記者)
協会は力士らへの研修会を繰り返し開いているが、確かに効果は見えない。昨年12月下旬には池坊保子・評議員会議長らが講話する研修会があったが、年明けすぐに大砂嵐(幕下6)の無免許運転、春日野部屋の暴行事件が相次いで発覚。
「2月にも『研修ウィーク』を設けて指導したが、その後すぐに、高砂一門の現役力士が強制わいせつで書類送検されたことが報じられた。強制わいせつは2016年、春日野部屋の暴行は2014年のことで、ここにきて表沙汰になるのは不可解だが、過去の不祥事が発覚するたびに、公表しなかった執行部側の立場が悪くなり、世間の貴乃花親方への期待が高まるのは確かだ」(同前)