“高齢者のスポーツ”的なイメージも根強いゲートボールは、70年以上の歴史を持つ。1947年、北海道でパンの行商を営んでいた鈴木栄治氏がヨーロッパの伝統スポーツ「クロッケー」を参考にして考案したのが始まりだ。
戦後の物資が少ない時代、遊び道具に事欠く子供たちのため、手軽にしかも健全に楽しめるスポーツとして工夫されたものだった。
しかし、当時の日本はまだスポーツを楽しむ余裕はなかった。追い風となったのは前回の東京五輪(1964年)だ。国民のスポーツに対する意識の高まりに加え、文部省(当時)が「国民皆スポーツ」を提唱したことによって、国内のスポーツ人気が高まった。
高齢者にとって、軽運動のゲートボールは簡単に始められるうえに身体への負担が少なく、健康維持の手段として広く奨励されるようになった。健康維持に付随して医療費節減にもつながるという「お墨付き」を得たゲートボールは、爆発的に競技人口を増やしていった。
ブームを反映するように、1983年には『おはよう!ゲートボール』(テレビ朝日系)などの専門番組が地上波で放送されるようになった。翌1984年、乱立する関連団体を統合する形で、財団法人日本ゲートボール連合が設立された。
続いて1985年、ブラジル、アメリカ(ハワイ)、台湾、韓国、中国、日本の代表によって世界ゲートボール連合も設立される。同年の11月には第1回全日本ゲートボール選手権大会、翌年には札幌で第1回世界選手権大会が開催され、世界的に競技者を増やしていった。